東京地方裁判所 昭和58年(特わ)3086号 判決 1984年2月29日
本店所在地
東京都新宿区西新宿八丁目一九番一一号
アルプス商事株式会社
(右代表者代表取締役植山矩利)
本籍
東京都日野市三沢七四二番地
住居
同市三沢七四二番地
会社役員
植山矩利
昭和六年八月一七日生
右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官三谷紘出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
一 被告人アルプス商事株式会社を罰金一七〇〇万円に、被告人植山矩利を懲役一〇月にそれぞれ処する。
二 被告人植山矩利に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人アルプス商事株式会社(以下、「被告会社」という。)は、東京都新宿区西新宿八丁目一九番一一号(昭和五八年三月五日以前は同都世田谷区駒沢三丁目一〇番一-二〇一号、同五七年一月二一日以前は同都港区芝三丁目一六番九号)に本店を置き、電子機器及び事務機器の販売等を目的とする資本金一、二〇〇万円(昭和五八年六月二八日以前は四〇〇万円)の株式会社であり、被告人植山矩利(以下、「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五四年一〇月一日から同五五年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四〇、四三八、二五四円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五五年一一月二九日、東京都港区芝五丁目八番一号所在の所轄芝税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五七、八三五円で、これに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書(押収してある昭和五九年押第一七七号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一五、三〇八、八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、
第二 昭和五五年一〇月一日から同五六年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一一九、七二五、三〇五円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五六年一一月三〇日、前記芝税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二、一四六、五二七円で、これに対する法人税額が八、一六六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四九、一四九、二〇〇円と右申告税額との差額四〇、九八三、二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、
第三 昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二六、五五二、二二一円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五七年一一月三〇日、東京都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の世田谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九、七〇五、〇八〇円で、これに対する法人税額が三、〇二九、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一〇、一〇四、八〇〇円と右申告額との差額七、〇七五、八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全般につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通
一 甘利孝、佐々木修、新堀信義、櫻山紀雄、近藤恒夫、今井敬義、国頭節子、古谷日出雄、田中幹郎の検察官に対する各供述調書
一 竹川弘一作成の上申書
一 宮澤義幸作成の証明書四通
一 登記官作成の登記簿謄本三通
判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の公表金額につき
一 押収してある法人税確定申告書三袋(昭和五九年押第一七七号の1ないし3)
判示各事実ことに別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の各勘定科目中の当期増減金額欄記載の内容につき
一 収税官史作成の次の各調査書
1 売上高調査書
2 商品総仕入高調査書
3 広告宣伝費調査書
4 退職金調査書
5 受取利息調査書
6 受取配当金調査書
7 受取手数料調査書
8 支払利息調査書
9 支払手数料調査書
10 株式売買益調査書
11 繰越欠損金当期控除額調査書
一 収税官史作成の報告書三通
一 検察事務官作成の捜査報告書
(法令の適用)
一 罰条
(一) 被告会社
判示第一の所為につき、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項、判示第二、第三の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項
(二) 被告人
判示第一の所為につき、行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において右改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)、判示第二、第三の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項
二 刑種の選択
被告人につき、いずれも懲役刑選択
三 併合罪の処理
(一) 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
(二) 被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(刑及び犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)
四 刑の執行猶予
被告人につき、刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 羽渕清司)
別紙(一) 修正損益計算書
アルプス商事株式会社
自 昭和54年10月1日
至 昭和55年9月30日
<省略>
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
アルプス商事株式会社
自 昭和55年10月1日
至 昭和56年9月30日
<省略>
<省略>
別紙(三) 修正損益計算書
アルプス商事株式会社
自 昭和56年10月1日
至 昭和57年9月30日
<省略>
<省略>
別紙(四) 税額計算書(単位 円)
会社名 アルプス商事株式会社
(1) 自 昭和54年10月1日
至 昭和55年9月30日
<省略>
(2) 自 昭和55年10月1日
至 昭和56年9月30日
<省略>
<省略>
(3) 自 昭和56年10月1日
至 昭和57年9月30日
<省略>